« ADRの基本 | メイン | 紛争解決とは? »

社会権と労働問題

このテーマは労働基準法とか、組合法といった法律は枝葉の問題です。歴史の重い事実が物語るものです。特定社労士は基本的人権の一分野、社会権に基づいて紛争解決業務を行います。

社会権とは自由・平等の社会共同体において、社会での立場上で弱者の自由・平等を確保する権利です。法律の枠内のみの概念でもないし、事業主と労働者の間に介入して紛争を解決する権利でもないのです。

だから特定社労士制度はあくまで、国家政策としての社会権充実のために、紛争解決機関の中での専門代理人制度なのです。

日本の社会権とはどういう過程で成立してきたでしょうか?

1、電産型賃金体系(1947年)=年功序列型賃金です。さらにこれは、理論生計費を基礎とした生活給賃金です。戦後間もなくできた日本電気産業労働組合の作った労働者の賃金決定に関して確立された社会権です。
2、近江絹糸争議(1954年):労働基準法が最低基準だという社会権が確立しました。
3、日鉄室蘭争議、三井三池炭鉱争議(1954、59年):「突然の指名解雇はできない」、また希望退職の応募がないからといってそれを理由に解雇はできないという社会権が確立しました。

これは早期のごく一部の歴史ですが、どういうものが社会権かというものが理解できると思います。もっともこれらの権利は獲得されるものばかりでなくて、時代の推移とともに良いものでもなくなってしまうこともあります。