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民法でその他注意する論点

○代理 : 本人自身が意思表示したのと同じ効果。使者は伝達だけ。私的自治を拡張・補充するため代理人を認めます。

○時効 : 不法行為の消滅時効は3年。これをどう覆すかが焦点になります。紛争解決の手段に時効という要素は、ケンカを売るようなものなので用いない方が良いです。労働問題では、長期間の時間の経過で資料や記憶がないことを主張する必要があります。

○信義 : 不誠実な扱いは「信義則違反だ!」というものです。非正規社員の増加による信頼関係の崩壊と紛争の増加の原因です。

○職権濫用 : 懲戒解雇事件でこういうことが多くなります。民法に含まれていたわけではないのですが、これが元になって男女雇用機会均等法ができました。解雇事件や労働条件変更、個別の労働契約の更新や改定を巡って職権濫用が問題になってきます。

○公序良俗 : 「それは常識では考えられないんじゃないの?」というようなことです。犯罪、基本的人権に反する行為、不正な取引などは、アンフェア・トリートメントは公序良俗違反として取り扱われる可能性があります。

○債権債務 : 不明瞭なものを確定させることも含みます。賃金や退職金の支払で出てくる概念です。

○債務不履行 : 安全配慮や就業環境の整備、競業禁止業務など、現在のところは不法行為法になっていても、契約法に追加されるものになっています。

○善意と悪意 : 知らないことは善意、知っていることは悪意といいます。

○使用者責任 :  使用者は被用者が事業の執行において、第3者に加えた損害を賠償しなければならないということ。報償責任と危険責任があり、使用者から被用者には「信義則上妥当な限度」で求償を制限するもとになります。

○瑕疵 : 労働問題では、過失による空白や、責任の所在が不明な場合に用いますが、法律用語としては様々な意味合いを持ってきます。