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民事裁判の三段論法

民事裁判の判決文は、これまでの事件の集大成というべき「作品」です。その構成は三段論法です。

1、法律ではこうなっている
2、事実はこうだ
3、両者を突合せ、だから結論はこうだ
というものです。

大星ビル管理事件という事件がありました。宿直仮眠時間は労働者が労働していなくても労働時間に当たるかどうかという事件です。ここでの三段論法は、

1、労働基準法でいう労働時間とは、労働者が使用者の拘束下にある時間(いわゆる拘束時間)のうち休憩時間を除いた時間、つまり実労働時間をいいます。
2、ところで本件には次の事実が認められる
 ・(いろいろ列挙)
3、よって、本件請求はいずれも理由があるからこれを認容し、主文の通り判決する。

とこんな具合です。特定社労士のあっせんは、主張の違うところを黒白つけるようなものではないので、法律ばかりチェックしているとワケが分からなくなります。法律違反だ!ということではなく、事実を書く!ということで論述方法を見るのです。何しろ社長さんに一方的に法律を説いたところで怒られるのがオチです。

再来年度からはじまる特定社労士制度は、これまで行われてきた「あっせん」と同じわけには行かないようです。講師に当たる弁護士ですら良く分かっていないので、数年前に行われた社労士の「司法研修」では教わったことを実際やってみたら、突き返しを食らった、などということもありました。

誰かが新しい「あっせん」のやり方を教えてくれるわけには行かず、社労士が自分で創造しなくてはならないようです。