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日本の社会保障のもと

「社会保障」というと、介護、労災、疾病、出産、年金、失業、障害など人生でのアクシデントに対応する公的な手助けのことをいいますが、これが日本史上最初に行われたのは今から1,300年前の話です。

光明皇后という女性がいました。奈良の大仏を作った聖武天皇の皇后で、藤原氏で初めて天皇の奥さんになった人です。

この女性は仏教(当時は真言宗や天台宗もない、南都六宗)の熱心な信者で、その教えに基づいて、

1、施薬院 : 病院
2、悲田院 : 生活保護施設

を初めて造りました。女性ではこれ以上出世できないという高位にありながら、病人の血膿を吸い出したりなど、自ら献身的な看護を行ったのだそうです。

この「社会保障」は仏教の慈悲の教えから出たといいます。この考えは、

慈…楽を与える
悲…苦を抜く
のうちの「悲」の考えです。

1、自らが悲しい存在であることを知ることによって、ほんとうに他者の苦がわかる。
2、そこで、はじめて他者と同感してゆく同苦の思いが生じる。
3、その自分の中にある同苦の思いが、他の苦を癒さずにおれないという救済の思いとなって働く、それが悲であるという。というものだそうです。

つまり、困っているヒトは誰でも救いなさい、ということです。今の社会保障制度もこういう考えに基づいているのが分かりますね。憲法の生存権もこれに基づいていますが、現在の社会保障が本当に困っている人を救っているのか、さて、というところが問題ではあります。