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「キバン」助成金と「名ばかり管理職」

NHK「名ばかり管理職」の番組がありました。

管理職になって、ヒラの社員よりも残業代の分お給料が少なくなってしまい、なおかつ責任が重くなってしまう、しかし家族のため、フリーターに逆戻りしたくない心理から無理をしてしまう、そんな状況は看過できないものです。一番の悪影響は、個人の健康・家族もさることながら、

○ 「エライ人になって見せるぞ」という向上心がなくなってしまう
ということです。それは人材の払底・枯渇から組織の停滞を意味します。ここでいう「エライ人」とはどういうものでしょうか。

助成金でも似たようなコトがあります。「エライ人」を雇った場合に出る「キバン」助成金は、管理職を雇った場合の人件費の補充ですが、その要件は主なものだけでも厳しいものです。

○ 部下が1人でもいること(社長と2人でも組織図を提出)
○ それ相応の能力があること(新卒や3年未満の経験ではダメ)
○ 年間350万以上の収入があること(残業代やボーナスは入れない)

この助成金は最初から「エライ人」が新事業を立ち上げるというものですが、残業代は要件に入っておらず、細かい出勤簿の提出もありません。つまり、

残業と労働時間は他と比べて要件として薄いのです。

管理職の要件、○権限、○労働時間、○待遇のうち、権限と待遇はウラを取ります。時間について問わないのは管理職なら長時間が当たり前だろう、というわけです。管理職でなくても、独立した社労士で成功している方はほとんど長時間労働です。権限は元々自分しかいないし、待遇は営業次第ですから当然でしょう。

NHKの番組の後半には、管理職に戻りたい課長さんのことをやっていました。やる気のある方、権限のある方のすべてを法律に当てはめるのは、戸惑いを隠せないというハナシです。重要なのは「働かされる」場合は不平が出て「働く」場合は不平が出にくいということです。

そういう意味では管理職の3要件にはもう1つ付け加えられるべきかも知れません。つまり、
○ エライ人になる可能性のある人であること、もしくはその意欲のあること
というものです。

働くヒトの中には「自分のため」「家族のため」という方もいるでしょう。それ以外に組織を大きくし、建設的な価値観を実現したいという方ならば、ドンドンエライ人になってもらい、モノでもカネでも時間でも惜しみなく与えても良いでしょう。

エライ人候補ならば、カネか?チイかメイヨか?という前に、もっとカッコイイ動機があるはずなのです。それに見合ったものを取っていただきたいものです。