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法律に定められているといっても…

ある会社で、「残業手当が少なすぎる」と苦情がありました。苦情を起こした従業員の方は住宅手当や通勤手当を算入し、残業代を計算していました。社長さんは法律によって計算していることを説明しました。

残業代は割増賃金を支払うことになっているのは周知のとおりですが、では、その割増の基礎になる金額の範囲はどこまでになりますでしょうか?ここに入れなくて良い賃金の範囲は法律に定められています。

家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1ヶ月を超える期間ごとに支払われた賃金の8つです。(”勝つべしジュリー”と覚える)

従って、社長さんの計算方法が正しいのですが、従業員の方は「賃金規程にそんなことは書いていない!」というのです。

確かに、法律的には法令>就業規則で、法令に書いてあれば就業規則でわざわざ繰り返す必要はないかも知れません。この場合は説明してあげればいいのです。

しかし、従業員の方すべてが法律を首っ引きで勉強した方ではないでしょう。お金の問題は切実です。ふとした感情のねじれが大きい事故を起こさぬとも限りません。ここで従業員の方が”言い負かされた”と感情的になることもあります。

ですから、残業代の計算基礎になる「1時間あたりの算定基礎額」は(基本給+上記の8つを除く諸手当)÷1ヶ月の平均所定労働時間と賃金規程に書いておけば、法律を知らなかった方の誤解を招く危険を減らすことができます。

この会社さんの賃金規程は”上記の8つを除く”が抜けていました。これを見た従業員の方はおかしいと感じたわけです。なぜ家族手当が入らないんだ?、この会社は出し惜しみをしているのではないか?などと思うわけです。

「法律は知らないものにも適用される」とは真実ですが、人を使うに当たって、厳しい真実をいかにソフトに伝えるか、ということも考えて良いのではないでしょうか?

法令は書き改めようがありませんが、法令の意思を個別の企業に軟着陸させるのに就業規則や各種規程は良い機会なのです。何といっても事業主が自分で法として”立法”できるからです。組織のボスが柔らかに真実を説く、というのが私としては「このボスの下で働きたい」という意識の芽生えにつながると思うのですが、いかがでしょうか?