« 残業対策の本質 | メイン | 山椒大夫の労務管理(下) »

頼りにならない「同盟軍」

頼りにならない「同盟軍」
城濮の戦い(紀元前632年)
スターリングラードの戦い(紀元後1942年)

この両者、2,500年以上の開きがあり、戦う相手も戦争の質も違っていますが、勝敗の原因に共通するところがあります。

城濮の戦い
楚・陳・蔡の連合軍 VS 晋・秦・斉の連合軍

スターリングラードの戦い
ドイツ、ルーマニア、イタリア、ハンガリー軍 VS ソ連軍

左側が敗者ですが、両方の共通点は、弱体な「同盟軍」を持っていたことです。右側の勝者は、この弱体な同盟軍を突いて戦いを勝利に導きました。
この弱体な同盟軍とは、

確かに一国ではあるが、本体と比べると似ても似つかないほど弱い国だった、ということです。彼らも確かに軍隊としてはありましたが、なぜそこから突破されたかというと、戦争の「当事者意識」が足りなかったせいだと思うのです。

城濮の戦いの陳・蔡という国は、今で言うなら小さい町ぐらいの都市国家でした。当時の中国は春秋・戦国時代で、強国とそうでない国の格差が広がりつつありました。また、スターリングラードの戦いのルーマニア、イタリア、ハンガリー軍は、当時のドイツに「世話になった」国家で、なぜソ連へ攻めに行かねばならないのか、自分たちの国益にはならないことを知っていました。

彼らにしてみれば、戦争でどちらが勝っても良いのです。要は自分さえ保全できればいいのです。しかしそういう国を率いると、勝ちのときは良いけれども、辛抱が必要になるとすぐ崩れます。攻めの体制の一部を任すのでなく、彼らは友軍とした方が良いのです。

要は、人間でも組むなら対等の立場が良いということです。「当事者意識」は人間の力を10倍にもするのです。人を使う際にもこれは言えるでしょう。力あるボスの下の子分では、弱点になりこそすれ、先鋒にはなりません。パートナー同士でどう戦うかというのが、特に今後、重要な人間関係になってくるでしょう。