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残業対策の本質

残業の抑制に「割増賃金」最低基準を引き上げへ

この「時間」を元にした労働能率の考え方、何とかならないものでしょうか。そもそも、残業手当の支給を多くして、残業が減るという考えは、企業が支出する金が増えるから残業を減らすだろうという非常に他力本願で、希望的観測に満ちた思考法です。

残業代を増やさないといけない場合、企業はどうするでしょうか?
1、残業を減らす
2、残業させないで仕事をさせる方法を考える

大部分が2に行くことは自明の理です。これは持ち帰り残業や、「証拠がない」と開き直る企業姿勢につながってきます。つまり、企業をわざわざ不正に追いやることになるのです。

日本の労働力の強みは、研究熱心に仕事を趣味にしてしまう点にあります。その結果、中国にも追随できないような高い職人技が編み出されるのです。こういう貴重な労働力に、過労死しないで仕事を満足にしてもらうため、経営がなすべきこととは、

残業代を払うことではなく、なぜその仕事をするのか、仕事をすることでどういう展望が広がるのかという未来を、指し示して公開する事だと思います。つまり、「生きがい」の構築です。

これは時給に換算できません。構築してもそのこと自体は利益を産みません。しかし将来的には大変な価値を生み出す元となることは確かです。また、これまでもそういうもので日本は価値を産み出して来たのです。

生きがいのある仕事は、責任感だけ、おカネだけの動機よりも10倍100倍の力を発揮します。それが集団で行使されれば、天下に怖いものなしです。

現在の労働問題は、このヤル気や生きがいというものを強引におカネに換算しようとしてきたところにあります。本来生きがいにおカネが付いて行くものなのに、おカネに生きがいが付属となると、人間そう持つものではありません。おカネ以上の仕事をしたときに、精神が付いていけなくなってバタンキューでしょう。

政府には、残業代を単に上げるというような労使ともに困る姑息な手段を弄さず、気持ち良く仕事ができる中身をチェックする機能の付加を義務付けて頂きたいです。会社の閉鎖的な雰囲気は、ヤル気の疎外になります。例えば社労士を1社1人必ず雇うとか(手前ミソですが)そういうことをまず定めて欲しいなと思います。