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「権威」が吹き飛ぶとき

徳川幕府が君臨した二百数十年、身分制度が日本を支配していました。それを打ち破ったのが、身分不問の国民軍を作った高杉晋作ですが、彼の「革命」が成就したのは、1つの事件からでした。

高杉軍は幕府支持の藩政府と対決するため、衆をまとめて進軍しましたが、主将の晋作たちはともかくとして、その他の兵たちは「殿様に刃向かう」ということで今ひとつ乗り気ではありませんでした。

幹部の山県有朋などが、敵の油断する策略を立てて奇襲攻撃を決めても、やっぱり同士討ちと秩序破りの罪悪感が先に立ったようです。しかし奇襲攻撃を掛けて、2つのことが、烏合の衆を革命軍にしました。

その2つのこととは、
1、仲間が殺された。
2、相手の大臣クラスのVIPを殺した。
です。1は「仲間を殺しやがって!」という憎悪と敵愾心が起こったのですが、それは殿様はじめ組織に対するものではありませんでした。問題は2です。

このVIPは身分的には、この革命軍の幹部さえひれ伏してお辞儀をしなければならない、高い身分の人物でした。
彼はこう思ったといいます。「百姓ども、血迷ったか」「自分が一喝すれば、百姓どもは鉾をおさめる」
そして、「殿様のご命令に背くとは何事か。静まれ。武器を捨てよ」と言ったのです。

さすがに、兵士はひるみましたが、指揮官は違いました。ここですくんでしまえば自滅だと言うことが分かっていたのです。そこでとっさに「撃てっ」と号令を下しました。

兵士はこれもとっさに銃の操作をしニ十数挺の銃口が彼の胸板に照準されました。「刃向かうのか?」といったとき、一斉射撃が起こり、彼は蜂の巣になり、兵士たちは堰を切ったように突撃し、勝ってしまいました。

指揮官の真実を見るココロと、兵士の従順さが明治維新の幕を開けたといっても過言ではありません。ここで件のVIPが腰低く出ていればどうだったでしょうか。「権威」は吹き飛ばず、革命は成就しなかったように思います。「権威」があると錯覚し、頭高々と出ると、意外にコロッと倒れてしまうものですね。