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キャリア強迫神経症とその対策

マスコミなどの、「ニート」に関する間違った認識の一つに、「ニートは働くことや将来のことをまじめに考えていない」とする論調があります。

しかしこれはむしろ正反対で、「自分が何をしたいのか」「自分は何者なのか」という自分探しに疲弊し、頭の中で自問自答を繰り返すのみで、一歩も動けなくなってしまうのです。

中高年世代はこういいます。
「自分が本当にやりたい仕事」
「自分の適性にあった仕事」
「自分の能力を最大限に生かせる仕事」
「自分が好きだと思えること」
を探せと。

そして若者は素直に探すのです。そんなものはどこにもありもしないものを。疲れるのもムリはありません。そしてこういう心理は、若者のみの現象ではなく、全年代の問題です。その対策は、

○上の4文句や「なりたい自分になる」は捨てよう。
○マズローの「自己実現」は集団帰属、認知欲求が完成してこそ追求するものである。ガンジーやマザーテレサの境地を極端に追求するべからず。
○キャリアとは、目指すものではなく、自分がこれまで歩んできた道のこと。そういう意味では子育てもニート体験も立派なキャリアです。
○「幸せになるのに近道はない」管理職は「今そうしなければならないことの意味づけ」を教えるべし。

具体的には、
○中堅社員に、「我慢」体験を話して聞かせる。「我慢」という言葉を使わないでしゃべるのがコツ。
○「自分を見つめる」ことより、「社会での居場所はどこか」「その社会で尊敬されるには何をするべきか」を教えること。

これができれば、勝ち負けに極端にこだわる社会や、ギスギスした雰囲気などはなくなるのではないでしょうか。キャリアとは本来強迫されるものでないということが分かっただけでも、世の中ずっと良くなります。