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自己実現:マズローと現実

マズローの欲求5段階説の最高峰をなすものが、「自己実現欲求」です。この欲求はしかし、われわれ凡人にそう簡単に手に入るものなのでしょうか?

他の4段階は「欠乏動機」といわれていて、ないとたまらないからそれを求める、というものです。「自己実現欲求」はそうではなくて、「存在動機」です。つまり、その人がそこに人としてあること、そのものの意味、動機付けなのです。

しかしそこまでいくと、何か宗教的な悟りを開くことにも似て、生理的欲求が脅かされてもなお、その存在動機に基づいて行動すると思います。例えばブッダとか、インドのガンジーなどは、断食してよろよろになって生命の危機に直面しながら、道を説きました。しかし我々凡人は、どう「自己実現」を図るべきでしょうか。

なにも「オレは一体何者なんだ!」というところまで、突き詰めなくてもいいのです。「やりたい仕事」をやれば良いのです。これが一般人の「自己実現」だと思います。

無論、そのためにはさまざまな試行錯誤が必要で、苦難に耐えなければなりません。現在のニートの問題なども、若くて視野もろくに広がらないうちから「やりたいことをやれ!」と尻を叩かれて、何が何だか判らなくなってしまっているからに他ならないのです。

やりたいことが見つかるのは、ひょっとすると明日かも知れないし、年取ってからかも知れません。しかしたとえどんな会社で働こうとどんな仕事をしようと、動かなければ見つからないことは確かです。若くして5段階まで極めなくても良いじゃないか、5段階まで極めようとする行動が大切なんだ!と教えてあげられれば良いですね。