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メールの世界の相手像

パソコンや携帯電話など、メールの世界では、現実に顔をあわせたベタの世界とは違った感覚が進行します。ITのコミュニケーションではどういうことに気をつければ良いでしょうか。

例えば、

○「メル友」が恋愛に発展し易い。
などは典型でしょう。なぜでしょうか?それは、相手の良い所しか見ていないからです。

個人的な情報を相手に伝えることを心理学用語で「自己開示」といい、一層仲が進むことになります。コンピューター上では、この「自己開示」が早く進むのです。本来、簡単には明かせない個人情報ですが、IT上では簡単に知ることもできたりします。しかし、現実の人間関係は違います。

「自己開示」を現実に初対面でやったりすると却って不信感を招きます。人付き合いには順序がありますが、ITの世界では飛び越してやれたりします。そこが怖いのです。

なにしろ不特定多数の人が訪れるIT世界で、自分の欠点をさらけ出せる勇気のある人は余りいません。その結果、会ってみると相手の悪いところのみが目に付いてしまうという現象も起こります。

人間というものはコンピューターで解析するにはまだまだ遠いほど、複雑で難しい存在です。実際会って長所はもちろん、欠点も包含できる覚悟を持たないと、人付き合いは続かないでしょう。

また反対に、ITの世界で簡単に進んだ人間関係を、現実の厳しい人間関係に持ち込んだ場合も怖いですね。こっちがIT的でも、向うがこっちの現実を見て一足飛びに人間関係を気付いてくれるとは限りません。「こっちが個人情報をさらしたのに!おのれ~」というような一方的な心理を生んだりします。

ITの世界と現実は大いに違い、現実の方がはるかに厳しく、それが人間そのものである、という認識が失われないようにしたいものです。