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西郷どんの人事論

また鹿児島ネタです。

西郷隆盛は自分のことを「才芸のない人間」と言っていました。彼は才芸のある人間を用いる方です。才芸とは理財の才、あるいは軍事や学問と言ったところでしょうか。語った言葉に以下のようなものがあります。

「才芸のある人間を長官に据えたりすれば、必ず国家をくつがえす」
というものです。つまり、専門家はマネジメントをやってはいけないと言う意味でしょう。薩摩藩では幕末に藩政改革で大いに財政を豊かにしましたが、その力は反対派を虐待することもあり、西郷や大久保利通の親族もひどい目に遭いました。

しかし大久保が「恨みと殖産興業は別だ」と考えたのに対し、西郷どんは「殖産興業をやるとロクデモない人間になる」と考えたのです。つまり最新技術は古きよき薩摩人魂をなくしてしまうと思ったのです。

しかし時代は西郷どんの懸念したようには行かず、最新技術を取り入れて今日の豊かな国をつくりました。しかし現在、100数十年を経てようやく西郷の精神重視の時代が到来しつつあるような気がします。専門職と総合職の違いを見れば、古臭いように見える西郷どんの言葉も、何か納得できるものを含んでいるように思われるのです。

今こうして書いていても、西郷「どん」と書きたいほど西郷隆盛は親しみの湧く人物です。革命家としての西郷どんは当時に不可欠でしたが、思想家としての西郷どんは現在にぜひ招きたいと思うのは私だけでしょうか。