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キリンビールの人事考課制度

10数年前、キリンビールはアサヒのスーパードライにシェアを奪われました。スーパードライの発売と同じ年、その職制は年功制を廃して1年毎の貢献度だけで処遇して行こうと、職能資格制度を導入しました。この制度の特徴は、

1、管理職に経営マインドを持ってもらう
2、加点(ポジティブ)思考への転換を図る
3、窓際族を作らず、全社員の生涯現役化
4、社員1人1人の戦力アップ

です。その内容は、

1、管理職でない課長を作り、若手の登用を促します。
事務、監督、技能、特別とあった職群を統合し、9階級に分け、階級が一定以上なら、部下なしでも管理職にしました。つまり、役職と処遇の分離。これで窓際族をなくしました。

2、考課の項目は以下のように変わりました。
・業務達成度 → 業績向上
・能力・態度 → 戦略構築・改革
・部下の育成 → メンバーの戦力化(ライン)、専門性の発揮(専門職)

能力・態度が重要でなくなり、戦略構築・改革が設定されました。これはより経営者のマインドに近づけるものだそうです。また上級管理職になるほど、戦略構築・改革が重視され、業績は2の次になっています。

窓際族をなくすのはともかくとして、管理職は業績より戦略構築を主眼に置けというのがいい教えです。また、管理職の下の総合職は年功制を残し、能力給で差額が出るようにしました。

評価の方法は、管理職は相対評価、総合職は絶対評価、賞与は相対評価です。この配分も管理職同士の競争、さらに一般社員同士の協力と競争のバランスをとるのに適しているといえます。