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国を滅ぼした愛国者

戦前、第2次世界大戦に向かって進んでいく世相の中で、多くの暗殺事件が起こりました。その最たるものは昭和11年の2.26事件でしょう。

殺した側はすべてが”愛国者”でした。国を思って要人を殺したのです。しかし彼らは結果として敗戦という形で国を滅ぼすことになりました。国の永遠の繁栄を願ったのに、なぜそうなったのでしょう?

理由は短絡的な思想にあります。気に入らないから命まで取ってしまえ、という小学生でも分かるような考えです。裏返せばはなはだ他力本願なやり方で世の中を良くしようとしたのです。何しろ、消せば良くなる、と考えてのことですからね。

暗殺された方は日本にとっては重要な人物でした。この人物がいれば戦争は起きなかっただろうという方も含まれています。彼らは日本が主体的にこうするべきだというテーマを持っていました。

しかしテロリストやその背後の黒幕は違います。

一知半解の知識でもって短絡的に事象を結びつけた考えで、力のない自分たちが上司をたきつければ上司がうまくやってくれると思っていました。それはそれで純粋なのですが、力のない上司はそれが自分のためになるか考えました。自分のためにならないとなると、さっさとこのプロジェクトを投げ出して、テロリストを処刑して終わらせてしまったのです。

残ったのは人材の死だけでした。昭和戦前に限らず、どうも”気に入らない排除”は組織の衰退をもたらすようです。