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東条英機は独裁者だったか?

日中・日韓関係が小泉首相の靖国参拝で揺れています。中国、韓国が唱えるA級戦犯合祀の問題は、太平洋戦争当時の首相、東条英機に象徴されています。彼が責任者であることは日本人でも認めるとして、ヒトラーに相当するような独裁者だったのでしょうか?

筆者は独裁者ではないと考えます。その理由は、
1、「独裁者的地位」は東条個人の魅力でゲットしたものではない。
昭和19年2月、首相兼陸相(軍政責任者。天皇の軍の統率の手助けをする)東条が参謀総長(軍の統帥主務者。作戦を建てる実務トップ)を兼任したいと言ったとき、天皇が認めたのは、陸海軍の対立を和らげるためであった。(人数が少なくなるから揉めないだろうと考えた)

2、首相兼陸相兼軍需相兼参謀総長では、十分な執務時間がない。
参謀総長の仕事は実際は参謀本部次長がやっていた。

3、東条は元々生真面目な性格だった。
サイパン島陥落とともに、退陣せざるを得なくなった。(昭和19年7月)5ヶ月だけの「独裁者」だった。ヒトラーは12年、ムッソリーニは23年間、勢力の伸縮はあるものの独裁者だった。

日本は二重権力の好きな国ですが、実際には「分散権力」というものでした。例えば江戸幕府は天皇・将軍・老中・側用人…いろいろ。鎌倉幕府は朝廷・将軍・執権の三重権力構造でした。日本の歴史で独裁者が君臨したことは一度もありません。独裁者のようなものが出現しても、時として血を流さないような方法で退陣せしめられています。

どうも日本の組織は社長が偉くないんですね。労働基準法が経営者に厳しいのも、日本の二重権力好きのDNAなのかも知れません。特に日本人的にやろうとすれば、権力分散でやれば、人々に受け入れられる組織ができるような気がします。しかも鎌倉幕府の執権でも何代も続いたように、顔ぶれが変わっても続く組織構造が大事なのです。