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政治家の人事

戦後60年、日本は戦争もなく、平和な時代が続きました。そんな中での総理大臣職は、重箱の隅をつつくようなあら捜しが続き、短命に終わる例が多かったのです。但し小泉政権はまる4年。5指に入る長期政権になろうとしています。戦後最長は佐藤栄作の7年、吉田茂の6年がこれに次ぎ、中曽根康弘の5年が最近では真新しいところです。

では、長期政権の人事とはいかなるものであったか、これは基本的に「後継者の競争」にあったと私は見ています。つまり、ボスの下に同じような実力の後継者候補を複数名競わせて、実績を上げるよう仕向ける、もしくはおのれを凌がないよう牽制するというものです。

「人事の佐藤」佐藤栄作の場合、田中角栄と福田赳夫の両者を競わせ、田中が実績を上げれば福田を引き上げ、福田の勢力が伸びると田中を取り立てるといった競争をさせました。吉田茂は佐藤栄作と池田勇人、中曽根康弘は竹下登、安倍晋太郎、宮沢喜一でした。

ただし、何十年前の昔はともかく、現在はどうでしょうか。宮沢喜一は加藤紘一、河野洋平という後継者がいましたが、2人が同じ派閥にいたために分裂しました。その加藤派も分裂しています。竹下派は小沢と小渕に、小泉首相の森派は結束していますが、どうも宮沢政権以後、総理大臣の人材統御法も様相が変わってきたようです。

複数名競わせても、後継というよりは自分のカラーの集団を作ってしまう感じです。つまり、大政党1つの時代から、小党分立の時代に入ったということです。小泉首相も、実力者連のボスというよりは、多くの小党を束ねる鵜飼いというイメージがあります。これまでの長期政権のイメージを覆す総理大臣になりそうですね。

政治は大方針に沿ってみんなで行こう、というものより、小党分立で、政策ごとに連携してという風になりつつあります。一応小党はここ最近集約され、自民・民主の2大方針に従うという感じに表面上はなっています。しかし両党の足並みの乱れを見るにつけ、小党分立は価値観の多様化を背景にむしろ強まっているような気がします。

日本では単一巨大政党の時代、独立小党分立の時代は過ぎました。今後は総論賛成、各論反対というように、政党単位よりも派閥単位の時代になるような気がします。自民党では郵政民営化の問題で、賛成派と反対派が戦っています。自民・民主の構造はそのままで、民主党との間で派閥の交換が行われるのかどうか?今後の政局に注目です。