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倒幕戦争と日清戦争

最近、小が大に打ち勝って、新しい時代を打ち立てた、という歴史上の事件の研究をしています。

題名の倒幕戦争とは江戸幕府 VS 薩摩・長州で、日清戦争とは当時の清国 VS 日本です。言うまでもなく地方領主が巨大な中央政権を倒し、小国が大国を破った戦争でした。

よく言われることは、敗れた方は「武器も旧式で人材がいなかった」ということなのですが、そこは当時でも大組織の強みで、武器は新式のものを豊富な資金を用いて購入し、人材も大勢の中から家柄にこだわらず優秀な人物を抜擢していました。

幕府の勝海舟は下級武士だったし、清国の提督、丁汝昌は敗将であるにもかかわらず、日本でその男らしい態度に評判が高かった人物です。

ではなぜ負けたか?簡単に言えば「みんなが参加する意識」だと思うのです。指揮官がいくら優秀でも兵隊が付いてこないと戦争に勝てなかった当時、兵隊の「意識」が、時代の立役者の交代を促したのです。

倒幕戦争では家柄にこだわらなかったのは両方同じですが、特に長州藩では武士以外から明治以降、有名人が出ているのに対し、幕府は大名・武士(剣術のできる人)の中から選んでいました。こうなると「しもじもの者」のインセンティブは明らかで、やる気が違うでしょう。

日清戦争の清国軍は、金で雇われ、文官に比べて身分が低いとされた武官に率いられた私兵の集団でした。一方日本軍は国家の一員として戦争を自らの意志で行う「国民」でした。何かの一員として任務を遂行する、という帰属意識が勝敗を分けたのです。

そう、集団の構成員1人1人が「どれだけ意識を利益集団に集中できるか」ということが、勝敗を決する元になりました。昨今の企業・役所の不祥事に凶悪犯罪、虐待などの発生は、集団に対する帰属意識で避けられたように思うのです。

そこまででなくとも、企業内で一体の意識を持てば、これほど強い集団もなく、そのお手伝いをするのが、人事の専門家たる社労士ではないか、と考えます。