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新入社員研修2年度

3日間にわたるIT関連の新入社員研修が終わりました。去年もやったもので、ほんの3日前は学生だった方々の集合研修の講師を、今年も引き続き務めさせていただきました。

研修メニューは去年と同じ、しかし人数は30数名から50名近くに増え、外国の方が増えたという陣容になりました。一方的な講義のみならず、ワークを主体とした研修だけに、全員に行き渡らせることができるかどうか、講師の手腕の見せ所です。

朝9時、47人の待つ教室に向かいます。社会経験が全くない方ばかりではないのですが、若者の輝くような雰囲気に呼応しながら講義を進めます。最初はレクチャーですので、1時間も経つと眠り始める社員もいます。講義をしながらさりげなくソバに近寄ると目を覚まします。

ここで言う講義をしっかり聞いて、後でワークに生かすという方式になっているのですが、神ならぬ身だとそういう意図は分かりません。「ハイ、では班を作ってワークしてください」というと、やっぱり活気付きます。同じ会社の人間は同じ班にならないようにする、あるいは数少ない女性を1班1人ずつ配置したりと、工夫しましたがそこは若者のこと、すぐに打ち解け合います。何か課題を与えてもちゃんと処理できるまでに時間はかかりません。

しかしそこはちゃんと落とし穴が掘ってあるのです。

この研修の時点でさっそく落ちなければならない、落ちた方が良い落とし穴です。課題を与えて処理しても、「ホウレンソウ」を初めとする社会のしくみを知らないと単なる同窓会になってしまいます、ということはいくらプロジェクトを組んでも、機械にやらせるのと同様になってしまうのです。

そこでそれまで和気藹々とやっていたワークに、雷を落とします。30分以内に仕上げるべき「仕事」を、時間が過ぎてもまだやっているグループがあります。また、早く仕上げてやることがなくなってしまい、ポケーッとしているところもあります。

「ホウレンソウ」が分からないところは毎年同じですね。ちゃんと報告すれば、納期のある仕事も延長が認められるかも知れない、あるいは早く仕上がればもう一段階上の仕事ができるかも知れないのですが、そういう構造は身を持って体験しないと分かりにくいようです。

雷を落とすとそれまでぼんやりしていたヒトも「シャキッ」としますね。雷の内容はすべて先ほど講義したテキストに全部書いてあるのですが、ちゃんと聞くヒトも、半分寝たヒトもここは変わりません。しかしここで痛い目に遭うほうが、会社で痛い目に遭うよりも、はるかに幸運なのです。彼らはそれに気付いてくれたでしょうか。