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コンビニエンスストアの労務管理

ビジネスガイド 2008年2月号

あの業界ではどんな労務管理が行われているのか?というシリーズもので、第3回『コンビニエンスストア』として、初めて特定社会保険労務士の名前を使い、書かせていただきました。

現実に就業規則を作ったり助成金を申請したり、社労士として業界の中身を見させていただいたのが執筆のキッカケになりました。ただ何と言っても私にとっては、その昔社労士の試験準備期間中その他、正社員と正社員の狭間にはお手軽でしかも奥の深い「コンビニのバイト」があったのです。

コンビニは24時間営業だけに従業員もお客もより特徴的ですし、バラエティに富んでいます。ですからその労務管理、また管理方法もスーパーや小商店と違ったアプローチがあります。その本質は、

ズバリ「回転の速さ」です。商品も回転が速いのですが、従業員も学生・主婦・フリーターが多いので、終身雇用などありえず、人事の回転が速いのです。ですからまずなるべく早く即戦力になってもらう方法を考えるところですが、「回転の速さ」によるマイナス面も考えに入れる必要があります。

それは「内引き」です。コンビニでは簡単に物を盗めるように見えます。ですから従業員の内部犯行は意外に多く、警察に言わずに穏便に済ませている場合も多いのです。これを防止するにはどうしたら良いか、また発覚するにしてもどう穏便に済ませるかというのは大きな課題になります。

ですから多くの企業と同じように教育が大きな比重を占めてくるわけですが、これが余り整っていません。大きなフランチャイズでもせいぜい礼儀作法の冊子を配るくらいです。レジは何がどこにあってどういう手順で処理するか、売り場はどういう陳列方法かというようなことはしっかりマニュアル化されていません。

要はフランチャイズにしっかり管理されているかに見えるコンビニでも、意外に社労士が入れる可能性は大きいということです。たとえ書類作成代行レベルでも、従業員の回転が速ければ仕事は発生します。社員教育まで広げれば、個々の店でもこれは相当食い込めるだろうと見込んでいます。「コンビニ戦争」も商品の競争から従業員の質の競争にシフトしてきているところも大きなビジネス・チャンスです。