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サイパン島と硫黄島

サイパンといえば、観光ですが、硫黄島は現在、アメリカ軍と自衛隊がいるだけの島です。第2次大戦中の日米の攻防戦の話です。サイパン攻略は
アメリカ軍死傷者14,111 日本軍戦死者41,244
硫黄島攻略は
アメリカ軍死傷者28,686 日本軍戦死者20,129

サイパンの方が面積も広く、日本軍の数も多かったのですが、アメリカ軍の損害は硫黄島の方が多かったのです。なぜでしょうか?

その原因は、硫黄島で改善されたところを見ると…

○ サイパンでは水際で迎え撃って艦砲射撃に遭い、上陸前に兵力を消耗した。
硫黄島では上陸をやらせて、兵力を温存し内陸で迎え撃った。

○ サイパンでは陣地を作って、空爆その他で粉砕された。
硫黄島では兵力全員が地下30mの地下坑道に籠って、空爆も艦砲射撃も効かなかった。「硫黄島」なので地熱やガスで大変な苦労があった。

○ サイパンでは戦車部隊を繰り出し、あっという間に撃破された。(当時の日本の戦車は時代遅れのシロモノ、おまけに狭い島)
硫黄島では噴進砲(ロケット砲:素早い分解が可能)を活用した。

○ サイパンでは民間人も犠牲になった。バンザイ・クリフは負の観光名所。
硫黄島では民間人は全部疎開完了。

ほかに硫黄島では、土木作業中は敬礼無用にし、作業能率をすすめるとか、戦死したアメリカ兵の軍服を剥いで着用し、英語で叫んで奇襲するとか、柔軟な発想がありました。

そして何といっても、「玉砕」という最後の突撃を禁止したところが良いですね。ゲリラとなっても敵に損害を与え、日本本土への攻撃を1日でも遅らせるというのは、戦略にかなったことです。司令官は軍事のみならず、作曲もたしなみ、アメリカの駐在武官の経験もあるダンディーなプロの軍人でした。

全体を抜く柔軟な合理性と、一部の効率の良い人情との組み合わせで、アメリカ軍に日本本土進攻をためらわせる戦略目的を達成した戦闘でした。