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”反政府運動家”の素質

明治初年、江戸幕府を倒した新政府は、さっそく自分を倒そうとする勢力を排除する組織を作り出しました。そのひとつが警視庁です。生みの親、川路利良は「反政府運動家の探索心得」というものを作っています。その中に「偽の人望家を探せ」という項目があります。

偽の人望家とは、
1、上に抗して下に人望を求めるもの。
2、この弊、封建時代(江戸時代)に少なく、当今(明治初期)に多し。
3、上に向って申述する器量なく、下に向って上を非とし、下に人望を求めるもの。

とあります。こういう人物が反政府運動をするのだ、というマニュアルです。

しかし多くの反乱者たちは偽ではない人望家でした。例えば西郷隆盛は現在に至っても大変尊敬されています。他の群小の反乱首謀者も人望がありました。だからこそ衆を集めて反乱が起こせたのです。

しかし確かに、”上に抗して”はあるかも知れません。たとえ下から人望があっても、上に逆らわなければそもそも火は出ないのです。こういう上下の人望を兼ね備えるという人物はよくいますね。企業で重宝がられる人材です。反乱軍になるのは、「上に抗する」人物です。こういう方は企業内で孤立したり、独立したりしますね。

現在は”反乱軍の時代”かも知れません。上のマネジメントが気に入らないから独立する、という方が多くなってきているのは上に挙げた偽の人望家が多くなっているということでしょう。無論どこが”偽”かというと、組織にとって都合の悪い人望を”偽の人望”というのです。組織を作るにあたり、”真”の人望と偽の人望を見分ける力が必要かも知れません。どちらが悪いということはともかくとして。