有給休暇管理簿のすゝめ
有給休暇というものは非常に強い強制力を持っています。一定の時期勤続して8割以上出勤していれば当然発生する権利で、請求も許可も要りません。そのことは結構働く人も知っていて、退職間際にまとめて取られて狼狽する社長さんもいらっしゃいます。
だからしっかり有休については管理簿をつける事をお勧めしているわけですが、これがなかなかなさっていないんですね。「そんなことは頭に入っている」と言う事業主さんもいらっしゃるわけですが、有休の規則というものもなかなか面倒で、それを導入すればうまく有休管理ができるのに、おやりになっていないと。
例えば、
○労働者には「時期指定権」があって、労働者の好きな休暇を取ることを予告できる。
○一方事業主には「時期変更権」があって、業務の繁忙を理由に「別の時期にしてくれ」と言うこともできる。
○有休を夏休みや冬休みの前後にいっせいに取らせると、新入社員には休業手当を支払う必要が出ます。これを回避する方法を取ると、また管理の手法が必要です。
○付与された年度に取得しなかった有休は繰越があります。古いのから消化するか、新しいのから消化するか、実は企業にとって大問題であるはずです。
このように、有休には専門家によるアドバイスと、継続的なしっかりした管理が必要です。有休でタダ働きの退職金、とならないように、対策をきちんとしておきましょう。
場合によっちゃヤバイこの制度
時間外労働についての残業代の続きです。制度を導入したのは良いけれども、場合によっては違法、ではたまりません。
労働基準監督署の基準で<場合により違法となるもの>は…
残業手当定額払い型
…定額が算定された割増賃金額を下回る場合に違法。残業の有無に関わらず毎月定額の割増賃金を支払うが、あらかじめ定めた残業手当しかし払わないもの。
自主申告自己規制型
…会社の関与の程度により違法となる。社内の雰囲気に反応して自己の意思により申告しないことまたは会社が認めた範囲内で申告を行うもの。
管理・監督者拡大解釈型
…管理・監督者の範囲を任意に拡大解釈し、例えば係長クラスにも支払を行わないもの。
ではこれに対する合法な手段と対策は…
残業手当定額払い型
…毎月タイムカードなどを突き合わせ、正確な額を払う。
自主申告自己規制型
…「労働時間適正把握基準」「賃金不払残業解消指針」に基づく客観的資料と突き合わせる。
管理・監督者拡大解釈型
…見合う権限および手当の支払等の管理・監督者にかかる通達に則した対応が必要。
まあひと言でいえば、こちらの都合も少しは考えてくれよ、という内容です。やっぱり残業手当の削減には変形労働時間制あるいは裁量労働時間制の導入が最有力でしょう。
時間外労働―何が目をつけられるか?
時間外労働は、日本の労働慣行において、現在残念ながら不可欠の要素になっています。会社もこれに対し、残業代を払わなくて良いようにいろいろ対策を打っているようですが、制度を作ったのはいいものの、違法な制度を作っちゃった、ということが数多くあります。
労働基準監督署という役所は、労災の管轄の役所です。ハローワークが雇用保険の管轄であるのに対し、「署」という名前は何か不気味です。警察署の「署」と同じように、立ち入って検査したり、告発したりという権限があるのですね。その監督署が、時間外労働対策の「制度」についての指針を出しています。こういうのは違法な制度だよ、という種明かしです。
何が何でも違法、と場合によっては違法、の2種類があります。ここでは”何が何でも違法”について解説いたします。
<制度自体が違法であるもの>
上限設定型
…月間30時間等の一定の時間外労働の限度時間を設定し、それを超える時間外労働に対する支払いを行わないもの。
足切り型
…月間30時間等の一定の時間外労働の限度時間を設定し、それを下回る時間外労働に対する支払いを行わないもの。
中抜き型
…月間の一定の限度時間に第一ラインと第2ラインを同時に設定し、第1ラインを超え、第2ラインまでの時間外労働に対する支払を行わないもの。
自主申告規制型
…自主申告制を運用するに当たり、明示または黙示で。申告しないことまたは会社が認めた範囲(上記の各タイプの併用)内で申告することを強制するもの
管理監督者深夜割増不払い型
…法定の管理・監督者に該当する場合には、深夜業に対する割増賃金の支払いが適用除外すると間違えて、深夜業を行わせても支払を行わないもの。
年俸制不払い型または月給制不払い型
…年俸制または月給制の場合には、時間外労働に対する割増賃金の支払を要しないと間違えて、あるいは年俸または月給額に組み込むとしながら、組み込まれた割増賃金額を明示せず、支払わないもの。
これを見ると、残業代をピンハネするか、法律を知らないかで、違法と判断されることが多いことが分かります。残業代を減らす方法は他にもあります。労働者にとっても残業させればいいというものではありません。しっかりと制度をつくり、効率の良い労使ともに満足な残業をしましょう。
退職時、有給休暇ガバッと取る!
社員が辞めるときに、「今までの有給休暇ください」と言って、辞めてから1ヶ月近く無労働で報酬をもらう例が多いです。「こう言われたんだがどう対処したら良いか」と相談されるのですが…
はっきり言って、最後に請求されたらそれを拒むことはムリです。つまり対処のしようがないということです。なぜなら、有給休暇は、請求するしないに関わらず、労働者に当然発生するという権利だからです。発生してしまったものは取り消せないのです。
では何も対処できず、どこの会社も1ヶ月近い無労働報酬を支払っているのかというとそうでもないのですね。きちんと有給を取らせている会社は当然として、計画的に消化している会社は多く存在します。どういう方法かというと…
計画的付与というものです。夏休み、冬休みなど、取れるものはけっこうあると思います。そこで6日以上の有給休暇を一斉に消化させることができます。これは労使協定を新たに結びます。しかし新入社員などは有給休暇がない場合もありますので、その際は、休業手当が必要です。できれば繰り上げて有給休暇を与えることをお勧めします。
もう1つが時効を使う方法です。有給休暇の時効は2年ですが、前年度の有給を繰り越した場合、古い方でなく新しい方を使うのは、就業規則に定めた場合、違法ではありません。これは労働基準法に定めがないために、民法の弁済充当の規定を使うからです。これは借金は新しい方から返しなさい、というものです。思わぬところから理由が出てくるものですね。
1と月休日7日で週40時間合法
週休2日を目指して法に定められている週40時間制。これを完全週休2日制にしない方法があるのでしょうか?朝夕に休憩を設定する方法で以下のような方法があります。
4週間単位の変形労働時間制を用います。週40時間なら4週間で160時間です。また、お昼は1時間あるものとします。
① 午前10時に10分、午後3時に15分の休憩設定
② 1日の就業時間は7時間35分(7.58時間)になる
③ 4週間変形による週40時間の所定労働時間は160時間
④ 160÷7.58=21.11日≒21日(切り下げ可能)
⑤ 28-21=7日の休日で良い。
これで月に1日は土日連続でいけるということです。お昼休み以外にも休憩を設けている会社さんは多いでしょう。そこで、この休憩を就業規則等に盛り込み、労働時間から外すのです。「合法」な休みなら堂々と休めるので、「次の休息時間までに仕上げよう」などとメリハリも効きます。
「みなし」と「裁量」のちがい
みなし労働時間制と裁量労働制はどうちがうのか?と言う質問をよく受けます。
ではまず、みなしと裁量が具体的にどう使われているかどうかから。
「みなし」:6時間働いたけど、8時間とみなす。10時間働いたけど、8時間とみなす。なぜなら、外にいて、何しているのか管理職が分からないから。
「裁量」:管理職がタイムキーパーとして計るには、客観的には分かりかねる仕事内容の場合。労働者自身じゃないと分からないから、6時間でも8時間分の労働、10時間働いても8時間分の労働としよう。
何か似たような感じですね。みなしの方が裁量よりも範囲が広いのです。裁量はみなしの一形態と呼べるのではないでしょうか。つまり、「みなしの理由は?」と聞かれると「労働者が裁量するから」という答えも考えられるということです。
「みなしの理由は?」と聞かれて「外勤オンリーだから」「専門職で能率が分からないから労働者が裁量する」「本部で研究職だから労働者が裁量する」という理由で、
1、事業場外労働のみなし労働時間
2、専門業務型裁量労働制
3、企画業務型裁量労働制
の3つが法律で細かく要件などが定められています。いずれも「何時間労働したか」を重視する労働基準法が、「何時間か分からないからこの場合はみなしにしよう」という例外を設けた規定です。なぜみなしなの?労働者の裁量だ!という問答で分かり易いと思います。