アイヒマン実験

ミルグラムのアイヒマン実験
アメリカの心理学者スタンレー・ミルグラムが、人間が権威にいかに弱いかを証明した心理学実験です。実験の概要は、

1、試される人が、学生に質問を発し、間違うと学生に電気ショックを与えます。
2、間違う回数が多くなると、電圧が上がります。
3、学生は「ここから出してくれ!」「やめてくれ!」と演技します。
4、しかし「権威ある心理学者」ミルグラムは電圧を上げるようにと指示します。
5、ここで試される人がやめるか続けるか、という実験です。

アイヒマンとは人名です。彼はナチス・ドイツのユダヤ人虐殺の直接の責任者として逮捕され、裁判にかけられましたが、一貫して「上司(ヒトラー)の命令に従っただけだ」と無罪を主張しました。

ミルグラム博士は上司の命令に従ったというだけでこんなに残虐な(ユダヤ人虐殺の被害者は400万人)ことが自分の良心に照らして実行可能なのかということを考えました。

そして実験の結果は、

6割以上の人が高い電圧を、ミルグラムの指示するまま与え続けたのです。これは死ぬかもしれないような危険な電圧です。「心理学者が良いというのなら良いのだろう」という心理はそのまま、「ヒトラーが良いというのなら良いのだろう」という論理につながります。

つまりアイヒマンの主張もまた、荒唐無稽なものではない、ということです。人間は相当非人間的なことでも、「上司の指示」「専門家の指示」でやってしまう心理があるということです。

公益通報者保護法(上)
公益通報者保護法(下)

もそんな心理に対抗するために作られ、施行されたものでしょう。会社という組織の中にいると、どんな人間でも、「会社の人間」が言うことが何よりも正しいと信じてしまいます。それが多くの食品会社の問題や、公務員の倫理に外れた行動を生み出してきました。このことは人間であれば当たり前の心理です。しかしそうでないあくまで良心に忠実な人々、希少価値の人々を保護しようというのが、この法律のミソなのです。

ポジティブな心理学

「選択理論」という心理学がよりポジティブな心理学といわれるのは、今までの心理学と比べるとよく分かります。

例えば、ロジャースの「傾聴」心理学は、「よく聴くことで相手の自分に対する評価を待つ」というスタンスです。この心理学でのカウンセリングは「よく聴いてくれた」という満足感は非常に高かったのです。

しかしこのやり方では、引きこもりもニート問題も何十年経ってもなくなりません。そこで、行為をした結果、どういうことを相手と分かち合えるか、自分で考えるというのが、選択理論です。

つまりどう振舞えばいいか?今日は誰に何をしようということを具体的に思い描けるようにしたいということです。何ができたら何がどう変わるか、ということです。例えばヒトの悩みを昇華する心理学カウンセラーになるには、

1,Want…夢:どうしたいの?

2,Doing…やってること:何やっているの?

3,Evaluation…行為そのもの:効果的?

4,Plan…計画:将来どうする。何になりたい?

この4つを自由に使いまわせれば、相談に乗ってポジティブな方向に相手の意識を誘導することが可能になります。1、2と番号が付いていますが、この順でやらねばならないということはなく、この4つを使いまわして、批判をせず、相手より大人になって真の願望を見つけ出すことができれば、カウンセラーとして一人前だそうです。

ヒトに話を聞いてもらうには「人間力」か「専門力」ですが、「人間力」で勝負したい向きには、人間力を高める自己評価です。普通人間力を高めようとすると、相談するヒトの強みに着目してしまいがちですが、「弱みを許せるようになること」も肝要です。弱みと強みは一体の関係ですからね。

例えば、進路に迷っている学生には、どちらに焦点を合わせるか問うてみます。
○欲求
○願望

どうしたいか?何になりたいか?という度散れかの切り口で上の4項目のループに載せてやれば、自分はどうするのか?という答えが、相談者は出てくるようになります。

リード・マネジメントとボス・マネジメント

リード・マネジメントとは、選択理論に基づく、新しいマネジメント。ボス・マネジメントは旧来のマネジメントです。要は、部下を導くか、頭ごなしに言うかという違いです。

例えば、
○仕事の方法
リ…会社の成功を目指して正直な話し合いを従業員にしてもらう。
ボ…ボスが仕事を決定し、従業員はそれに合わせる。
○仕事の覚え方
リ…模範を示し、改善に従業員の意見を聞く。
ボ…仕事のやり方を話すが、見せない。改善に意見は聞かない。
○仕事のチェック
リ…従業員は自らチェックする責任がある。
ボ…ボスが検査する。

リード・マネジメントは良好な人間関係を築くところから始めるところが特徴です。こんなマネジメントなら、すぐにリード・マネジメントが流行りそうじゃないか、と思いそうですが、そうは問屋が卸さないようです。

ボス・マネジメントはそれなりの威力があり、一時的には効果を発揮するものです。しかし長い目で見ると、人を抑圧したり抑圧されたりするものですから、反感や憎しみを増長させ、しかし利口な人はそれを表面に出さないので始末が悪いのです。

これに対し、リード・マネジメントはそれぞれが問題を認識し、その解決策も自発的に模索するよう導くものです。モチベーションが向上し、自身や責任、誇りまで持つことができます。さらには強いリーダーの存在さえあれば、競争優位の理想的な仕組みの構築も可能です。

あなたの悪妻度チェック!

”悪妻”という響きは、個人的には少しおかしみのある表現というのは、独身男のうぬぼれでしょうか。しかし、会社において、社員を部課長に抜擢するときは必ず奥さんに会って、管理能力を知る、という例は結構あります。ここでどういう項目で”悪妻”と判断されるか、見てみましょう。

1、あまりにも礼儀知らず
2、肩書きで人を値踏みする
3、自己主張が強すぎる
4、部下には無愛想
5、好き嫌いが激しい
6、横柄な態度を取る
7、学歴をひけらかす
8、夫の仕事に口を出す

要は、自分勝手で上には弱く、下には強いというところでしょうか。無論、こういう方同士のカップルでも結婚生活はうまくいく例はあります。しかし会社としては?というわけです。なぜでしょうか?

特に学歴や肩書きが命取りになるようです。差別された、意識だけではないですね。学歴も肩書きも後天的な努力、もしくは偶然によってもどうにでもなるものです。そんなものに寄りかかっていること自体が軽蔑の対象になるのです。

会社としては、肩書きなどに安住してもらうほど迷惑なものはありません。学歴も資格も、別の何か素晴らしいものを得るスプリングボードに過ぎないのです。

日本史上、悪妻と言われる人はいます。しかし北条政子も日野富子も「学歴」があったわけでもないし、肩書きも「将軍正室」を生かしたわけではありません。彼女等はむしろ、ダンナの妾の家を焼き討ちするとか、ダンナの会社のために別収入を得るとか、時代が違うのでスケールが違いますが、ある意味、かわいい女性ではあったのです。

学歴や肩書きはしかし嫌味でしかないですね。しかもパートナーの肩書きの威を借りるとなると…言うまでもありません。女性も働き、責任のある地位を目指すべき、というのは、こういう弊に陥らないようにという意味もあると思います。

どんな人ともうまくいかない性格

グラッサーの心理学、選択理論によると、マズローの5段階欲求のような、5つの基本的欲求があります。このうち、絶対に誰ともうまく行かない2つの性格があるそうです。

1、生存の欲求:他人よりリスクを冒さなければ「強」
2、愛と所属の欲求:自分が得ることより、相手に与える気持ちが高ければ「強」
3、力の欲求:自分のやり方、人を所有したい、言動はいつも正しいと思いたければ「強」
4、自由の欲求:型にはめられる、1つのグループに長くいるのは嫌だ、と思えば「強」
5、楽しみの欲求:学ぶこと、教えることが好きであれば「強」

さて、どれでしょうか?

「自由の欲求」「力の欲求」が極端に強い場合です。この2つが強すぎる場合、どんな人と応対してもうまくいかないそうです。

つまり、いつも自分のやり方を貫きたいと思い、人々を所有し、自分の言動はいつも正しいと思い、また、規則に従うことに我慢ならず、型にはめられることが嫌いで、1箇所に留まることが嫌いという性格は最悪です。

考えてみれば、こういう性格の人は結構いると思いますね。特に独立事業主たる経営者は多いのではないでしょうか。力と自由を求めて、経営者になることが多いとするならば、私自身もまず自分の欲求の強弱を知ることから、始めたいと思います。

では理想の性格とは、
1、生存の欲求:平均的。リスクも取るし、安全も求める。
2、愛と所属の欲求:強い。与える気持ちが強いこと。
3、力の欲求:極端に強くない。
4、自由の欲求:極端に強くない。
5、楽しみの欲求:強い。学ぶときに良く笑うこと。

考えてみれば、ナチス・ドイツに代表されるファシズムは力と自由の欲求が高い政治体制で、所有欲と膨張欲で敗北したようなものです。多くの人から嫌われる、という一見国家とは別のところからファシズムは破綻したのかも知れません。

新しい心理学

「選択理論」という新しい心理学の理論に出会いました。これまでの心理学、フロイトを初めとする近代心理学を「外的コントロール」で人間を支配するものだと一蹴し、「内的コントロール」で自分自身を変えようという、一見哲学か宗教のような印象の心理学です。

しかし自分を変えるといっても、外から変えるのでなく、自分自身の中から変えるという方法なので、押し付けがましくはないのです。もうこれでもかというようなハッピーな概念が続きます。

思いやる、耳を傾ける、交渉する、支援する、励ます、信頼する、友好的に関わると、いった風な積極的で明るい切り口で内的コントロールを果たして行こうというもののようです。そういう姿勢は社員教育によって、会社の雰囲気を明るくしようというところにもつながります。

これが「リードマネジメント」というものです。前に挙げた積極的な言葉群の行動が、社員から恐れを取り除き、認め合い、納得いくまで話し合うという空気を作ります。

この反対が「ボス・マネジメント」で、社員が自主性を持たず、提案もできないで、意見を吸い上げられない悪循環を作り出すのだそうです。「外的コントロール」と同義語ですね。

人間できることとできないこと、変えられるものと変えられないものがあるので、それを素直に受け入れれば、現実と願望のバランスをうまく取ることができる、というものです。この「選択」があるから選択理論というのだそうです。

それまでの「常識」をくつがえすような心理学で、能天気なほどユートピアチックで、元気を出す要素に満ちています。何といっても実践的なので、もっと勉強してみようと思います。

もっと大切なコミュニケーション

組織内コミュニケーションで一番大切なものは、心理学的なものになります。モノの見方、判断の基準、難しく言えば「スキーマ」(認知の枠)のことです。これを共有化できれば、どんな規則を何百カ条作るよりコミュニケーションが高度化し、効率化します。

哲学用語では「先験的認知枠」と言うそうですが、モノの見方の元になる、情報に基づいて行動するということはどういうことなのでしょうか?その行動の原点が分かれば、「スキーマ」を組織の構成員全体で共有する糸口になります。

情報を1回1回論理的に処理し、最適と思えることを幅広く考えているのではないのです。あらかじめ似たような経験を思い起こし、こういう時はこうすれば良いという認知を持って意思決定をしているのです。個人は必ず、誰でも持っているでしょう。経験に基づいた強固なものです。

つまり多くの場合、人間は自動的に動いています。たとえ半分酔っ払っていても、家にはちゃんと帰り着くのと同じです。1つ1つの情報収集に対して、全部意思決定をして歩いていたら、たぶん会社に行くだけで疲れ果ててしまうでしょう。

しかし新しいことに直面したときにはこのスキーマが邪魔になります。これが最良と信じたものを突き崩すのは難しいものです。

当然ビジネスにも起こり得ることです。新規開拓で伸びてきた業界は、少子高齢化で人口も延びない時代には1人1人のお客さんを大事にしなくてはなりませんが、これがなかなかできません。そこで重要なのが会社全体の「スキーマ」の形成なのです。共有する人が大勢いれば誰かが間違いに気づき、修正が可能になるのです。

”嫌よ嫌よも好きのうち”の心理

恋愛で、本当は好きなヒトに気持ちを伝えたいのに、わざと本心を気付かれないように振舞うことがあります。こういうのを「反動形成」といいます。

この心理は、本当の気持ちが周囲に分かってしまうことで自分の評価が下がったり、気持ちがバレルことで相手に嫌われそうなとき、本心と裏腹なことを言うというものです。嫌よ嫌よは、好き好きといった場合のリスクを考える慎重な態度です。

これは子どもによく見られる、というのは分かります。「たけしくん、ハイ!」で幼い頃のたけしが、好きな女の子の家の壁にボールをぶつけて気を引く、などは見ていてほほえましく、ちょっとうらやましい気持ちになります。

しかし、この「反動形成」は当然大人の社会でもありえます。

例えば、嫌いな上司にゴマをする、というのはそうでしょう。本心を言うと嫌われるどころか…ですから、敵意や嫌悪感を抑制して好意的な態度を取ったりしますね。

これは、個人的な感情<社会の立場という、人間の集団の中で生きる上での当然の心理です。問題は、この当然の心理を、「いや!やっぱり個人だ!」と排斥してしまう傾向が現代に強いということです。

人間というものは私も含めて単純で脆いものです。「本音で付き合おうよ」という中にも、建前を期待するものです。そういう本音と建前のあざなえる縄のような組み合わせがコミュニケーションなのです。人間の当然の弱さ、自己防衛も健全な社会を形成する上で不可欠の存在であることを、大人も子どもも自覚すべきかと思います。

組織内での「噂話」の影響

噂話の原則…内容が不幸なほど人々の興味を引き、どんどん広がっていく
これは良い人か悪い人かという概念を越えたもののようです。

ウォーカーとブレインの実験というものがあります。

ある大学の学生80人に2種類の噂話の書かれたはがきを配達しました。
1、学生食堂の利用時間が改善される
2、近いうちに学則が厳しくなる

1週間後この2つの噂がどう広がったのか調べたところ、1が27%なのに対し、2は73%も広がっていました。この原則で、さらに「噂話」がどういう影響を与えるかというと、

○ 噂に恐怖や不安を感じる→他人に依存したくなる→噂話を共有したくなる
ということがあります。

そんな悪い噂でも気にしない、というヒトはいいのですが、噂に不安を感じた場合、それを他人に伝えたくなる、という心理です。

また、噂話をする心理の裏には、
○ 「早耳情報」を知っていることを評価してほしい
ということがあります。

こういう心理は、自分の評価を気にして、さりげなく評価を高めようというものなのです。その話の内容は自慢話から始まることが多いです。

ですから噂話に加わることは、
○ 自分の不安定な心理をさらけ出す。
○ 評価してもらいたい心理をさらけ出す。

ということなのです。要するに自分の弱点をヒトに開陳してしまう、ということですね。ですから社会人研修や新人研修では「噂話には加わるな」という教育がなされるのです。

自己表現でストレス開放!

「カタルシス効果」というものがあります。カラオケでマイクを手放さないタイプの方は、歌うことでストレスを開放しているのです。それで得られる開放感を「カタルシス効果」といいます。

過去の屈辱的な体験、恐怖、罪悪感などを自由に表現することで精神的な抑圧や、緊張を解消するこのなのです。たとえば失恋したときに、おおっぴらに「私は失恋しました!!」と街中で叫ぶわけにはいかないでしょう。

それに代わって、悲恋の歌を熱唱することによって抑圧感を開放しようというのです。実に分かり易くて良いやり方ですねえ。これを企業に応用すれば、はなはだストレスレスな会社ができそうな気がします。

カラオケボックスを会社内に設置するというのはどうでしょう。歌は範囲を決めても良いし、「騒音」がもれないようにし、役員による管理を徹底すれば問題も起こらず、意識から活性化しそうな気がします。現在のメンヘル問題は、会社の居心地が悪いところから来ています。仕事場といえど、「遊び」の要素を取り入れる時代に来ていると予測するのは大胆でしょうか。

音楽の効用に似ていますね。苦しいことがあったら、元気な曲で回復するとは限らず、かえって悲しい曲の方がいい場合もあるということです。何といっても「自分で」表現することが大事です。

私もカラオケ嫌いでしたが、そういうカタルシス効果や、音声の発生そのものが快感ホルモンを活性化させるという効果を持つということで、レパートリーの少ない懐メロを搾り出すように歌っています。(笑)

音楽の効用

”音楽心理学”とは第一次大戦後出た概念で、第二次大戦後発展したもののようです。

その結果、単調な作業や騒音、不安などのストレスを和らげる「環境音楽」が誕生しました。それを利用したものが音楽療法です。その方法は、

1、能動的療法 : 歌を歌う、楽器を弾く、作曲など、音楽に関することを自ら行う。
2、受動的方法 : 精神状態に応じた音楽を聞かせる。
 
ここで、注目したいのは2の受動的方法です。一体どんな曲を聞かせればいいのでしょうか?

興奮している人を沈静化させるには静かな音楽、また、落ち込んでいる人に元気な音楽というのが、原則でしょう。

しかしここに「同質の原理」というのがあります。

失恋したときに元気の良い応援ソングを聴くより、気分にぴったりの失恋の曲を聴くことがあるでしょう。これは音楽と同調し、共感することで気持ちを浄化する作用です。親を失った子が、同じような境遇の人に共感することに似ています。妊婦さんが出産のときに音と振動の効果で痛みを軽減したりする効果もこれと似ています。

営業のときに戦意を高めたいのか、事務で落ち着いて仕事をするのか、はたまたコンサルタントで意識を集中したいのか、職場の場面で全く反対の音楽か、それとも「同質の原理」的音楽か、考えると音楽という意外な切り口から、職場の雰囲気の問題があぶりだされてきそうですね。

コンプレックスの心理学

人は誰でもコンプレックスがあります。押しつぶされない程度のものならば、何かを成し遂げるバネになるのですが、過剰だと成長の妨げになります。

そういう場合、身近な人に相談し、そのコンプレックスを乗り越える手助けをしてあげる必要があります。我々が知っているものは数多くあります。

○エディプス・コンプレックス : 子供の同性の親に対するもの。家庭内暴力、登校拒否。
○マザー・コンプレックス : 成人男性の母親に対するもの。
○シンデレラ・コンプレックス : 成人女性の理想的な男性に対するもの。
○ロリータ・コンプレックス : 成人男性の幼女に対するもの。援助交際など。
○カイン・コンプレックス : 兄弟間のもの。若貴兄弟の確執。
○白雪姫・コンプレックス : 母親の子供に対するもの。児童虐待など。

では、このようなコンプレックスに対し、人はどのような反応を示すのでしょうか?

1、会話の最中に出てきたある特定のキーワードに対する反応が長くなる。
2、相手の言葉をオウム返しにしたり、見当違いの返事をする。
3、話を茶化したり、苦笑したり、話題を変えようとする。
4、気づかないフリや、ソワソワと体を動かしたりする。

こういう場合には、相手のことを思いやって、素早く話題を変えることが必要です。誰しも、つらい体験や、一定の好みもあるはずなのですから。客商売ならなおさらのことです。もう一度強調しますが、誰でもコンプレックスはあるのです。人間関係を保ちたいなら、なるべくコンプレックスの刺激は避けましょう。

”装甲型”老人の魅力

老いというのは何でしょうか?サクセスフル・エイジングつまり、退職前よりも活動的に生きるか静かに生きるかの選択をしなさい、どちらがあなたは幸福ですか?という理論があります。

しかしながら、最近は個人が選ぶというよりも、もっと社会に軸足を置いたプロダクション・エイジングという言葉が出ています。高齢者が社会の中でいかに生産的に生きるかという課題を1人1人が持って欲しい、というものです。

こりゃ良いと思いました。歩けない、認知症になったということでも、それを助けることで生きがいを持てる若い人がきっといるはずです。

さて、老年期のパーソナリティの5類型というものがあります。

1、円満型…前向きに老いを認める。未来に向けて希望を持つ。
2、安楽椅子型…受身かつ消極的に、老後は安楽に暮らそうとする。
3、装甲型…老化への不安から、活動水準をキープしようと重装備で固める。
4、憤慨型…老化を受け入れられず、他者を攻撃する。
5、自責型…過去に目が行き、人生失敗だったとクヨクヨするタイプ。

何だか上から下へ消極的になりますが、私の周囲には結構”装甲型”が多いです。高度経済成長を担ってきた方だからか、元気ですね。老化への不安も感じさせない、仕事のみならず、遊びや勉強も熱心です。

ある日突然ポッキリと…にならないとは限らない不安はありますが、お年寄りがよぼよぼとしているよりは、私は元気が出ますね。というよりはそういう方は既に”お年寄り”ではないような気がします。

上記のプロダクション・エイジングの方はこういう方が多いのではないでしょうか。老いを受け入れてと言うより、若者そのものと言う方が特に経営者に多いです。これから経営者が多くなる時代になると、ますます元気な老人が増えることになるのを期待しましょう!

人事の”生物心理学”的アプローチ

コーチングをはじめとして、「物事を前向きに考えよう」「悲観説ではなく楽観説を」と、最近よく言いますが、「なぜ積極的にならねばならないんだ?」という疑問に答える根源的なアプローチは今ひとつという感じがしていました。

今日、あるセミナーに参加して、医学と生物学を織り交ぜた、「生物心理学」としての生命力・免疫力の向上とは?ということについて楽習?してきました。

前向きに考えないとなぜ悪いのか?

それによると、後ろ向きな発言とは物事を前向きに捉えればいいのにそうしない「解釈の失敗」であるということ。

それが積み重なると、記憶の悪い振動が起こる。(言葉も思いも振動である)

その振動で臓器が誤作動する

生活習慣が悪化する(不快な気分・疲労・倦怠感)

病気になる

というような流れでした。この「記憶の悪い振動」「臓器の誤作動」が医学的・生物学的なのです。悪い体験による悪い振動があれば、振り捨てたつもりでも細胞は覚えていて、しまいには堪えられなくなってガン細胞化する、というような例でした。

そしてその解決方法は…

今行ったコースを逆にたどればいいということです。患者には不快で不愉快なことは何か全部洗い出させ、改善するためにはどうしたら良いか書き出します。

そして今まで成功したこと、尊敬した人、楽しかったことを思い出していただき、子どもの頃何になりたかったかということまで思い出していただく。

ここまで表現できれば、現状認識を経て、「自分は何をしたいのか」「何になりたいのか」というところまで解決するというものです。

この論理は本来、医学の世界でお医者さんがどう患者に対するかというコンサル材料なのですが、会社で仕事をいかに楽しくするかについての動機になるような気がします。人間病気になると心の問題そっちのけで体の健康重視になってしまいがちなのですが、これを日記などをつけることで現状認識し、心から病気を治していくというものだそうです。

「後ろ向きは体に悪いよ」と言える説得材料は、結局医学とか生物学にまで至るのかな、そう思わせたひと時でした。