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法を守る会社の勝利(上)
創業したてで、資金も少なく、従業員も安いお給料で頑張っている会社がありました。その名は株式会社フレンチフリゲート。
そんな会社に、取引銀行の頭取の後継者たるその息子が遊びに来ました。この応接に粗相があれば、資金パイプは止まり、たちまち倒産です。この会社の名誉会長以下総出で気を使い、もてなしました。
しかし、大粗相が起こってしまったのです。社員がお茶を出すところで、熱いお茶をこの息子にぶっ掛け、大やけどを負わせてしまったのです!息子はすぐに病院に収容されました。社員はこの息子に個人的に恨みがありました。
会社は恐慌状態に陥りました。さあ会社が滅びないようにするにはどうしたら良いか?名誉会長は直ちに病院にお見舞いに伺いました。会社の幹部会は、とりあえずこの社員を即時解雇してしまうということに決定しました。そのことを総務部長に諮ると、彼は意外にも「即時解雇はできません」と言ったのです。
この会社の就業規則には以下のように記されています。
116条:名誉会長の一族に危害を及ぼしたものは解雇とする。
117条:その他のものに危害を加えたときは3ヶ月の停職とする。
この場合、117条が適用され、3ヶ月の停職にしかできないというのです。会長も社長も激怒しました。「何を言っているんだ!クビにして誠意を見せろ!」しかし総務部長は動じませんでした。彼の言い分は…
「116条を適用し、即時解雇にしたら、この会社では適切な法運用がなされないと、取引先から軽蔑されます。この生まれたての会社の将来の大計を誤るもととなります。この会社の法を犯すことは、対外的信用を失わせます。取引先はますますわが社を見下し、野蛮な会社としてもっと無理難題を押し付けてくるでしょう」
確かに他の会社でも、こういうケースでは117条の扱いになることが分かりました。しかし、現実は取引銀行はこの会社のライフラインです。銀行の担当者は言いました。「ほう、クビにはできないのですか?それも良いでしょう。しかし覚悟はしておいてください」
経理部長からは、「この社員に因果を含めて自主退社させてはどうか?」という意見も出ました。しかし、会長も社長もあくまで法に則って処分するという方針では一致しました。さあこの社員の処分と、会社の運命はどうなりますことやら!?(下に続く)