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一石四鳥!政治家、後藤新平

後藤新平という政治家がいました。幕末に生まれ、昭和初期まで生きたヒトです。

このヒト、医者だったのですが、行政官としての才能を見込まれ、日清戦争で日本領になった台湾の民政局長になりました。領土が増えたといっても、台湾は中国の支配下にあっても、4つの問題を抱えた統治しにくい場所でした。その問題を一気に解決したのが後藤新平です。

1、風土病 : 住民の平均寿命は30歳未満。
2、抗日ゲリラ : 長年の中国の支配から変わるのだから、当然日本の支配に反対した。
3、アヘンの吸引 : 言ってみれば悪しき生活習慣。
4、インフラの未整備 : 道らしい道もなく、鉄道も実用に耐えない状態。

さて、彼は、この4問題をどう解決したか?

まず3のアヘンの吸引は、いきなり禁止にはせず、免許制にし、官による専売制にしました。タバコに似ていますね。免許には税収があります。その税収は衛生事業に使い、病院を次々に建て、1の風土病の撲滅に一役買いました。アヘン売買免許は新たな免許を発行しない事で50年近くかけて、習慣を根絶しました。アメリカの禁酒法の失敗と比べると、効果はてきめんです。

また、アヘンの仲買人には利益を上げる傍ら、抗日ゲリラの説得に当たらせました。何しろ嗜好品ですから、説得力があります。

また、抗日ゲリラに関しては、罪人にしないので投降するように呼びかけ、投降したゲリラには土木工事を請け負わせ、仕事を与えました。その結果、2の抗日ゲリラ、4のインフラの未整備も肩が付きました。

彼の政策で特徴的なのは、全てを関連付けて処理するということです。
アヘンの吸引→免許税→衛生事業の原資
抗日ゲリラ→寛大な処置→インフラの整備の労働力

組織内の問題はすべて関連付けて解決できるという好例です。アヘンではありませんが、タバコの健康問題や、ニートの問題なども、同じやり方で解決できるのではないでしょうか。

後藤新平はのち東京市長や大臣を歴任し、日本国内でも特に都市計画でスケールの大きい実績を残しました。東京の山手通りや靖国通り、明治通りは彼の実績です。ラジオ放送やボーイスカウトの普及にも尽力しました。結果を出す実務家だったのですね。